ホログラフィックディスプレイ関連の開発企業(システム、ディスプレイデバイス)

Displays
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はじめに

趣味でホログラフィックディスプレイについて勉強しています。

本記事では、私が知ってるホログラフィックディスプレイ関連の開発企業をざっくり紹介してみます。

参考記事

以下の記事をかなり参考にしています。後は前から知ってた企業などを書きます。

ホログラフィックディスプレイについて

本記事での「ホログラフィックディスプレイ」の定義

本記事では、よくマーケティング目的?とかで言われる3Dディスプレイ(例えば、回転式のホログラムディスプレイとか、ホロレンズとか)に使われてる「ホログラム」とは区別して、ホログラフィックディスプレイやホログラムという単語を使います。

これらは、3Dっぽく見えますが、真の3D映像ではなく、人間の視覚特性的に3Dとして認識しているだけであると理解しています。また、ARとかで使われてる両眼視差に基づく3Dディスプレイ等も今回のスコープからは外れます。色々ある3Dディスプレイの方式の違いなどは、3次元ディスプレイ – Wikipediaとか、これとかが少しはわかりやすいかもしれません。(このあたりもいつかまとめたいです)
ちなみに、これらの課題は、輻輳と調節の矛盾(VAC: Vergence-Accommodation Conflict)が知られています。これは、目の調節機能(ピント合わせによる奥行認識)と輻輳(目の回転角度による奥行認識)との認識距離の相違があることによって目の疲れなどが生じるという課題です。具体的には、調節と輻輳の矛盾は、ディスプレイにピントが合い調節距離となる一方で、両眼視差で認識する物体の位置が輻輳距離となるために生じます。

これに対して真の3D映像を提供するディスプレイは、人間が実際に外の世界を見るときと同じような光を目に届けるようなディスプレイです。VACの課題もおきません。

誤解だらけの「ホログラム」 それっぽい映像表現との違いは?(1/2 ページ) – ITmedia PC USER ホログラムの誤解とかはこことかも参考になるかもしれません)

ホログラフィックディスプレイ(Holographic Displays)

では、真の3D映像を提供する「ホログラフィックディスプレイ」とは、なにを指すかですが、光学のホログラフィー(Holography)の技術を応用している3Dディスプレイです。(他にも真の3D映像を提供する、という意味では、Light Field Displayとかもあるかもしれませんが、今回はホログラフィックディスプレイのみを扱います。)

ホログラフィックディスプレイは、目に届く光波を再現します。これは、回折や干渉といった光の波動性を利用したディスプレイです。

以下の記事とかを見ると、感触がわかるかもしれません。

ただ、このホログラフィックディスプレイには課題が多く、今はまだ技術開発段階のため、製品化している企業はないと思います。ただ、製品化しようと開発を進めている企業はあります。次章でざっくり紹介します。

ホログラフィックディスプレイの開発企業

では、自分が少し知っている開発企業を挙げていきます。ざっくり挙げるだけなので、気になったらHPとかを見てみてください。

あと、もしかしたら、上述した生粋のホログラフィックディスプレイだけではないかもしれないので、この点ご了承ください。(ただ、光波を再現しているディスプレイに関連した技術を開発しているという点では全ての企業が当てはまるはずです)

システム系

SeeReal Technologies

SeeReal Technologies

基本的に、広い視野を提供するには、図中のHologram displayは解像度が大きく、画素ピッチ(画素サイズ)が細かくないといけないです。これに対してSeeRealでは、比較的粗い画素ピッチでも大丈夫なように構成しているようです。

VividQ

VividQ | Game-changing visual experiences

VividQは、CGH(コンピュータ合成ホログラム、Computer Generated Hologram)生成アルゴリズムや、AR/VR光学系などに取り組んでいるようです。

最新の発表だと、SPIEでの発表があったようです。Computational holography for non-beginners: Three common myths about CGH | Alfred Newman | SPIE24 (youtube.com)

発表の中で一番新しいものは、Amplitude 4K LCOS/LED Illuminationと記載があるのですが、どういうアルゴリズムでCGCを作ってこんなに綺麗なホログラム像を出しているのか、表示サイズがどのくらいか等が気になっています。

Envisics

Envisics – We redefine the way people see and interact with the world.

ホログラフィックHUD(Head Up Display)を開発する企業です。HUDは、自動車で運転者向けの情報を表示するやつです。こんな感じの。

以下のような論文からすると、位相ホログラムを使ってHUDを作っていそうです。

(PDF) Displays Based on Dynamic Phase-Only Holography (researchgate.net)

Swave Photonics

Swave Photonics

2022年に設立された企業のようです。超高精細な空間光変調素子(SLM, Spatial Light Modulator)と処理するチップ?を開発しているようです。あまり情報が多くなく何をやっているのかいまいちわかっていません。わかり次第更新しようと思います。

空間光変調素子の画素ピッチは、300nm以下のようです。これにより、回折角度を確保でき、3D像を表示可能な範囲を拡大できるということです。

ちょっと特許とかも探してみたいです。

こことかで紹介されてます。

ディスプレイデバイス(空間光変調素子)系

空間光変調素子(SLM, Spatial Light Modulator)には、プロジェクターとかで用いられる振幅変調型(Amplitude)、3Dディスプレイやレーザー加工などで主に用いられる位相変調型(Phase, Phase Only)があります。とりあえず、以下には3Dディスプレイに使えるディスプレイデバイスを開発している企業をざっと書いていきます。自分が知ってるのが、ホログラフィックディスプレイをLCOSとレーザー/LEDで実現しているものなので、LCOSばかりになってしまってます。

各企業の仕様の違いまでは見切れないので、画素ピッチ、解像度、変調方式を記載しています。

HOLOEYE Photonics

Spatial Light Modulators – HOLOEYE Photonics AG

論文を読んでても、結構こちらのデバイスが登場しているのを見かけます。

LCOSを開発しています。最小画素ピッチは3.74 µm、解像度は4160 x 2464 Pixelです。Reflective LCOS (Phase Only) 位相変調型と記載があり、0~2πの位相変調が可能です。

Santec

空間光変調器 (LCOS-SLM) | Santec Holdings Corporation – The Photonics Pioneer

LCOSです。画素ピッチは8um、解像度は1920 x 1200とかのようです。位相変調型です。日本の企業です。

Meadowlark Optics

SLMs – Meadowlark Optics

LCOSです。画素ピッチ17um、解像度1K(1024 x 1024)です。位相変調型のようです。何回か論文で使われてるのを見た気がします。

SLM-HSP-UHSP-1024×1024 – フォトテクニカ株式会社 (phototechnica.co.jp)

Kopin

Kopin Microdisplays Commercially Available Products

マイクロディスプレイ全般を作っている企業のようです。FLCOS(強誘電性液晶を用いたLCOS)があります。強誘電性液晶は、2値の振幅変調(かな?)しかできませんが、応答速度が高速という特徴があります。

最小画素ピッチ8.2µm、解像度は2048 x 2048です。

May Display

메이 (may-display.com)

初めて聞きました。LCOSを開発しているようです。8K(7980 x 4320)の3.2umピッチのようです。おそらく振幅変調型でしょうか。

JVC Kenwood

反射型液晶パネルD-ILAデバイス | 産業用部品 | JVC

LCOSを開発しています。上述したVividQのシステムに使われているようです。日本の企業です。

最小画素ピッチは3.8um。解像度は、4K(4096 x 2160 pixel)です。おそらく振幅変調型、つまり0~πの位相変化量があるタイプと思われます。

RaonTech

라온텍 – RAONTECH MicroDisplay (raon-tech.com)

ここで紹介されています。

自分は初めて目にしました。LCOSを開発している企業のようです。最小画素ピッチは4.3µm、解像度はFull HD (1920 x 1080)です。

浜松ホトニクス

LCOS-SLM(空間光位相変調器) | 浜松ホトニクス (hamamatsu.com)

LCOSを開発しています。画素ピッチは大体12.5um、解像度は1272 x 1024 pixelsでした。3Dディスプレイよりかはレーザー加工などに特化していると思います。こちらはPhase Only SLM、位相変調型ですので0~2πの位相変調が可能です。日本の企業です。

SONY

液晶マイクロディスプレイ | マイクロディスプレイ | 製品・ソリューション | ソニーセミコンダクタソリューションズグループ (sony-semicon.com)

プロジェクター用のLCOSを開発しています。最小画素ピッチは4.25um、解像度は1,920 x 1,080です。振幅変調型です。その他のマイクロディスプレイ(OLED、LCD)も開発しています。日本の企業です。

その他企業

以下は、自分がただ理解しきれていないけど、関係がありそうな企業を挙げています。

おわりに

ざっくり備忘録として、ホログラフィックディスプレイ関連の開発企業を紹介しました。結構ディスプレイ技術に寄ってしまいましたが、これからも調べたらアウトプットのために記事として残しておこうと思います。

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